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更新日 2019.5.8

老老介護、認認介護とは?原因や問題点、解決策についてまとめました

高齢者の増加、介護現場の人手不足、介護の世界においてはさまざまな問題がありますが、その中でも深刻なのが「老老介護」「認認介護」という問題です。

昔であれば、年齢を重ねた親の介護は同居する家族がするというのが一般的でした。

しかし、時代の流れとともに少子高齢化、家族形態の変化などさまざまなことが原因となり、高齢者が高齢者を介護する老老介護、認知症の高齢者が認知症の高齢者を介護する認認介護という形が増えてきています。

名前や様子を聞くだけで「それは危ない…。」と感じてしまう老老介護と認認介護。

今回は、その原因と対策方法を紹介していきましょう。

老老介護・認認介護とは

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老老介護と認認介護。

その名前からも状態を想像しやすいですが、老老介護と認認介護の定義をまとめておきましょう。

老老介護というのは、65歳以上の高齢者が65歳以上の高齢者を介護している状態のことです。

老老介護と聞くと、年齢を重ねた高齢夫婦の妻が夫を介護している、反対に夫が妻を介護している状態をイメージする方は多いかもしれません。

しかし、最近では65歳以上になった子供がさらに年齢を重ねている親を介護しているタイプの老老介護も増えてきています。

認認介護とは、老老介護の状態でなおかつ介護者と被介護者、いずれも認知症を発症しているケースのことです。

認知症にも程度がありますから、場合によっては認知症を発症した高齢夫婦が2人きりで生活をすることも不可能ではありません。

しかし、認知症である以上、後述するさまざまなトラブルが起きる可能性がぐっと高まりますから非常に危険です。

認知介護は、老老介護の延長線上にある介護スタイルともいえるので、老老介護が増加している日本では、とても深刻な問題となりつつあります。

POINT

✔老老介護とは、65歳以上の高齢者が65歳以上の高齢者を介護すること

✔認認介護とは、認知症の高齢者が認知症の高齢者を介護すること

✔老老介護から認認介護に発展するケースがとても多い

老老介護・認認介護の増加の原因

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昔と比べれば、老老介護・認認介護をせざるを得ない世帯は増えてきており、老老介護・認認介護の増加にははっきりとした原因があります。

世の中に介護を必要とする人が増えれば、その分老老介護・認認介護をせざるを得なくなる世帯は増えます。

人が亡くなるまでの平均年齢をあらわす「平均寿命」とは別に、人が健康な状態で生活を送られなくなるまでの平均年齢をあらわす「健康寿命」というものがあります。

例えば、平均寿命が80歳で健康寿命が70歳なら、単純に考えて70歳から80歳までの10年間は、介護などによるなんらかのサポートが必要になるわけです。

日本では医療の進歩によって平均寿命が伸びましたが、健康寿命は伸び悩みました。

最近では、食生活の改善などの影響もあり、徐々に平均寿命と健康寿命の差は縮まりつつあります。

それでも、厚生労働省によると平均寿命と健康寿命の差は、男性で約9年、女性で約12年(平成28年時点)だといわれています。

一人の人間が人生の中で約9年と約12年、介護を必要とするわけですから自然と老老介護・認認介護の状態になる世帯が増えているのです。

介護を必要とする年数が増え、さらに高齢者が増えただけでなく、家族形態の変化もひとつの原因となっています。

昔であれば、結婚した子供夫婦と親が同居しているケースが多かったです。

しかし、同居に対する考え方、働き方の多様性、少子化、さまざまな理由が重なり、結婚しても親とは同居しない核家族が増えています

高齢者になった親は、自分を介護してくれる子供が自宅にいないわけですから、必然的に老老介護をせざるを得なくなるわけです。

もちろん、老老介護が必要になったことがきっかけで子供と同居して、老老介護から抜け出すという選択肢もあります。

しかし、そのためには子供の仕事、住み慣れた土地からの引っ越しのことなど考えなければいけない問題も多くあり、現実的に同居をするのが難しいという側面もあります。

老老介護は介護する側にも介護される側にも大きく負担がのしかかるため、施設へ入居したほうがよいケースもあります。

しかし、施設入居するための金銭的な余裕がなかったり、費用が安い介護施設は空きが出るまで何年も待たないといけない状態だったりするケースもあるので、老老介護をせざるを得ない高齢者も多いです。

介護を必要としない高齢者でも、体の機能は低下しています。

そんな高齢者が介護をするとなれば、ひとつひとつの作業に時間がかかります。

1日中介護をしているなんてことも珍しくなく、老老介護をしていると外との関わりが途絶えがちになるでしょう。

認知症を予防するためには、食生活、運動習慣、他人とのコミュニケーションなどが効果的だと言われていますが、老老介護が始まるとこういった部分がないがしろになりがちです。

結果的に、老老介護を続けることで介護をする側もされる側も認知症を発症して、認認介護の状態になるというケースは少なくありません。

POINT

✔昔と比べて一生の中で介護を必要とする期間が伸びた

✔夫婦のみの世帯が増え、金銭的に施設入居も難しい高齢者が多い

✔老老介護の生活環境が原因で、認知症を発症することが多い

老老介護・認認介護の起こりうる問題

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老老介護・認認介護の様子を少し想像するだけでも、この介護スタイルの問題点がいくつも浮かんできます。

前述したように老老介護の延長線上に認認介護があるため、起こりうる問題も共通するものが多いです。

老老介護と認認介護で起こりうる問題を、まとめて紹介しましょう。

老老介護だと、介護をする側もすでに体のあちこちに痛みや機能低下という問題を抱えているため、介護による肉体的な負担は相当なものです。

また、1日中介護に携わることで精神的にも大きな負担を感じるでしょう。

介護をされる側も、元気な生活から介護生活に切り替わることで、気持ちが滅入ってしまいます。

一度介護が必要な状態になれば、体を動かしたりすることも減りますから、適切に対処をしないと肉体面の機能低下もどんどん進むでしょう。

老老介護・認認介護だと、こういった負担によって共倒れする危険性も高いのです。

要介護認定を受けたら、ケアマネジャーにケアプランを作成してもらい、それに沿って介護サービスを利用することになります。

しかし、介護業界は人手不足であり、ケアマネジャーがすべての要介護者に対して完璧なケアプランを作成できているかというと疑問が残ります

本当に適切な介護サービスを受けるためには、ケアマネジャーに頼り切りにならずに自分たちでも利用できる介護サービスなどについて調べて、ケアマネジャーに提案をする必要があります。

人生の中で介護サービスについて学ぶことは、そう多くありません。

多くの人が介護が必要になったタイミングで情報を得るために勉強しますが、高齢者になると新しく情報を得ようとする意欲はぐっと低下します。

そのため、本当に老老介護・認認介護の環境を支えるために必要な介護サービスを受けられずに、負担の大きな生活を送ってしまうことも少なくありません。

適切な介護サービスを受けられなければ、上述したような介護者と被介護者の肉体的・精神的な負担も増加するでしょう。

認認介護だと、次のようなトラブルの発生率がぐっと高まり、日常生活が破綻する可能性が出てきます。

・食事をとったかわからなくなり、食生活が乱れる

・水道光熱費の支払いが滞り、ライフラインがストップする

・毎日の薬の服用を管理できなくなる

・詐欺にあいやすくなる

・火の不始末による火災などが起きやすくなる

・深夜の徘徊が起きやすくなる

たとえば、夫婦で住んでおり一人が認知症なら、もう一方の介護者が認知症によるトラブルを未然に防げます。

しかし、両者が認知症である認認介護となると、お互いに正常な判断ができなくなり、トラブルが起きやすくなるのです。

POINT

✔介護者も被介護者も肉体的・精神的な負担が大きく、共倒れする可能性が高い

✔情報不足により、適切な介護サービスを受けられない可能性が高い

✔認認介護だと、認知症特有の症状によるトラブルが起きやすい

老老介護・認認介護の対策方法

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要介護度があまり高くない場合は、老老介護・認認介護でも一定の生活を送れる可能性はあります。

ただし、老老介護・認認介護を実現するためには、それなりの対策をする必要があるでしょう。

老老介護・認認介護で生活を続けるためには、適切な介護環境を整えなければいけません。

自分たちの生活に必要な介護サービスを受けられないのは、そもそもどんな介護サービスがあるのか知らないからという部分が大きいです。

まずは、市役所の介護保険課や地域包括支援センターの窓口に足を運び、今の状況やこれからどうしていきたいのか、どういった生活を送りたいのかといった部分を相談することが大切です。

窓口に訪れて相談をすれば、さまざまな情報を得られるでしょう。

しかし、高齢者によっては、情報を得てもそれを上手に組み合わせて利用するだけの力がないというケースもあります。

そういった場合は、家族が介護をサポートをする必要があるでしょう。

遠距離に住んでいる場合でも、老老介護をする親が利用できそうな介護サービスを調べたり、ケアマネジャーに相談するといった形でサポートができます。

老老介護・認認介護の生活が始まると、どうしても要介護状態が高くなりやすい生活、認知症を発症しやすい生活になりがちです。

健康な段階から、しっかりと食生活や運動習慣に気をつけることも大切ですが、老老介護、認認介護になってからもなるべく状態が悪化しないように日頃の生活習慣に気をつけることが大切です。

また、病気や認知症の発見が遅れるほどその後の対応が大変になりますから、なにかしらの違和感を覚えたら、病院で診てもらうことも意識しましょう。

POINT

✔困ったら介護保険課や地域包括支援センターの窓口で相談する

✔家族が介護の情報を集めたりすることで、介護の質を向上できる

✔いつでも要介護状態の悪化・認知症予防のための生活習慣を心がける

まとめ

平均寿命と健康寿命の差、家族形態の変化などが原因で、65歳以上の高齢者による老老介護・認知症の高齢者による認認介護をしている世帯は、昔よりも格段に増えています。

一番安心なのは、老老介護・認認介護をしている高齢者が他の家族と同居したり、施設へ入居することですが、家族形態の変化、金銭的な負担なども考えると現実的に不可能というケースもあります。

老老介護・認認介護は生活をする上で大きな問題点もあります。

しかし、窓口への相談、家族のサポート、生活習慣の見直しによる要介護度の悪化や認知症発症の予防といった対策を意識することで、老老介護・認認介護でも無理のない生活を実現できるかもしれません。