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更新日 2019.5.8

なぜ介護業界には大手企業がいないのか?企業のランキングもまとめました!

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今回は介護業界になぜ大手企業が少ないのか、という疑問について解決していきたいと思います。

また、既存の大手企業についてのランキングをまとめましたので、これから介護業界への就職を考えている方はぜひご覧ください!

大手が参入しない理由とは?

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介護ビジネスを提供している企業は、その大半が中小企業です。

大手の企業はなかなか事業に参入してきていない現状にあります。

これには、いくつか理由が存在します。

介護事業は、国から支援をしてもらっている現状もあって、他の業界とはかなり様子が異なる事業です。

そのことを前提として、介護事業全体の現状を把握することが大切です。

介護業界は、参入が困難な業界というわけではなくむしろ参入そのものに関しては容易であるという特徴があります。

実際に中小企業が活躍しているのも、新規参入が行いやすく資本金がそれほど多くなくともビジネスとして経営を行うことが可能だからです。

ただ、こうした参入が容易という側面が大手の参入を拒んでいる要因にもなっている事実があります。

参入が難しい場合、特定の企業の寡占化が進んで大手企業の参入が容易な状態になります。

言い換えると、中小が強いビジネスとも判断できるわけです。

大手が参入する条件としては、その業界で大きな利益を得ることができるかどうかという条件が挙げられます。

この点、介護業界に関しては中小の利益率が大きくなって、大手の利益率が小さくなるという特徴があります。

これは、利益差率という客観的なデータからも明らかです。

全サービス平均で約3%程度しか差がなく、つまり業界全体でそれほど大きな利益差が存在しないことを意味します。

参入しやすい環境とあって、利益を皆で分け合う形になっている現状が良くわかります。

他の業界でも利益を出している大手ならば、介護でも効率的に大きな利益を出すことができるように見えてしまいます。

しかし、中小企業と異なって、様々な業界に手を広げている大手は一つの業界に大きな力を入れることができないという側面があるのです。

確かに、資金力が豊富で確固たる基盤を作る力はありますが、全ての力をそこに注ぐことができるわけではありません。

一方で、中小は介護という比較的マイナーな産業に大きな力を注いでいます。

これも、大手が参入しづらい状況を作っているわけです。

利益差率が低いわけですから、中小でも十分に戦えていることがわかります。

ビジネスを行う上で最も大切なのは、資金を投入したところで原価の元を取れるかどうかです。

例えば、原価1億円の資金を投入した場合には最低でも原価1億円の収入があって初めて回収率100%になります。

ビジネスとしてプラスにするためにはそれ以上の収入が必要になるのです。

この点、介護は他の業界と異なって原価が高いという共通点が存在します。

介護を専業としている会社ならばこの原価比で負担を感じることはあまりないのですが、手広く産業に手を出している大手は話が別です。

原価の元を取れるかどうかがとても重要なポイントになります。

大手と中小に存在する最も大きな違いは、人件費です。

人件費にかかるコスト面も原価として計算されますので、この部分を回収できるかどうかが非常に重要になります。

特に、大手の企業は多くの人材を抱えています。

新しく介護業界に参入しようと考える場合には、新しい人材を確保してから育成までのコストが非常にかかってしまうケースもあり得ます。

既に述べた通り利益差率が小さい分、現状では大手の取り分が大きいとは限りません。

人材確保のコストで利益が無くなってしまう可能性もあるわけです。

中小は、特定の業務に特化したサービスを提供すれば利益を確保できる可能性があります。

これは、介護の中でもサービス内容によって実は利益率がかなり違う現状があるからです。

例えば、ホームヘルパーとして仕事を提供している企業と、施設型で入所を目的としてサービスを提供している施設では利益率が違います。

実際のデータだと、ホームヘルパー中心の純利益と施設型の純利益では5%から7%程度の利益の差が生じるケースも報告されています。

どの部分に力を入れるかによって儲けが違うため、新規参入する場合にはこの点にも神経質にならなくてはいけません。

厚生労働省は、現在の市場規模は2025年度ころに約2倍に膨れ上がると予測しています。

これは、政府が業界に対する政策支援を積極的に行っていることと関連しています。

大手企業が参入しやすい基盤を作ることによって、新しい市場の流れを作ろうと努力しているのです。

実際に、介護事業を積極的に行う企業や事務所に対して、支援金を提供するための制度が既に実施されています。

日本は高齢化社会であり、高齢者に対する支援が不可欠な状態です。

そのため、この市場をさらに大きくするように様々な企業の参入を見据えた政策がこれからも期待されています。

POINT

✔介護事業は、国から支援をしてもらっているので他の業界とはかなり様子が異なる事業である

✔介護業界は参入障壁が少ないため中小企業が乱立している

✔大手が参入を踏みとどまる理由として、人件費と利益率の問題がある

今後大手が参入する可能性はある?

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業界にはすでに大手と言われるサービス提供者がいくつか存在していますが、そのほとんどは介護サービス以外の部分で利益を得ています

用品の販売や施設に対する器具の販売といった介護保険制度にかからない商品やサービスの販売が大きな収益源となっているのです。

保険制度の下では特定の業者が利益を独占的に得る事は難しい上、サービスの品質についても一定のレベルが要求されることからその差別化を図る事は非常に難しいのが特徴であり、一般の業界に見られる競争原理が働きにくい点が大手の参入を阻んでいると言う実態があるのです。

介護サービスだけで高い利益を得ることが難しい要因としては、介護サービスが法律で規定されサービス内容に対して一定の報酬が支給されると言う点にあります。

特定の相手に対して過剰なサービスを提供することが認められないため、中小であっても大手であってもサービスレベルの違いが生まれにくいのです。

大手においてはその企業の構造上サービスを提供するために中小に比べ大きなコストがかかることが想像されるため、同じ利益しか得ることができないのであればその利益率が低くなってしまう事態があり、この点を改善できなければ中小の企業に対して効果的な利益を得ることができないのが実態となっているのです。

現在介護サービスを提供している大手の企業は付帯サービスで利益を得ていると言う実態があります。

介護用品の販売や訪問介護におけるサポートの用品などといった、直接的に介護保険制度に関わらない部分での利益率が非常に高いのです。

そのため実際の介護サービスにおける利益は低くても業界全体としての利益を上げることができると言うメリットがあるため、対応をすることができる構造になっています。

介護保険制度は多くの人が一律に最適な介護サービスを受けることができるように設定されているもので、サービスの提供者やその品質によらずに同じ費用でサービスを提供してもらうことができるという特徴があります。

従来のサービスにおいてはその費用を負担できる人だけが高いレベルのサービスを提供してもらうことができる構造となっており、平等なサービスを受けることができると言う点について様々な問題を生み出してきました。

この仕組みはサービスのレベルを向上させることでより高い利益を得ることができる自由競争の原理を促進するものとなっていましたが、現代の保険制度においてはサービスを享受する人が安心することができることを重視しているため、特定の企業が利益を得ることは難しい構造となっているのです。

そのため大手が参入するためにはその利益性を確保するための障壁があり、簡単には参入することができない業界となっている特徴があります。

現在では大手の参入が難しい事業構造となっていますが、将来的にはサービスを受ける人の質が大きく変化することが予想されています。

現場の保険制度の分類においては必要なサービスを享受するために認定を得ることが重要となっており、その認定の基準が実際とはそぐわない部分もあるため自由に必要なサービスを受けることができない状態も発生しているのです。

この点について自由に自費でサービスを受けることができるような構造とすることも検討されており、これが実現することで大手の参入が激しくなる可能性も少なくありません。

自費で自由にサービスを受けることができるようになることで、自由にサービスを決めることが出来るようになる可能性があります。

これは現代の医療における保険診療と自由診療の違いと同じように、より高いサービスを受けることを希望する人に対して企業がその要求に合ったサービスを提供することができるようになることが予想されており、企業が独自のサービスを開発し提供始めることで利益を得ることができる構造を実現するようになるのです。

業界においては様々なサービスの検討が始まっており、従来の保険制度の枠には留まらないものも多くなっています。

現在の保険制度においてはその等級により一律に提供受けることができるサービスが決められている傾向がありますが、自分で必要なサービスを受ける側が判断できるようになることで、様々なサービスの開発と提供が頻繁となり、多くの事業者が参入を試みる可能性が膨らんでくるものと考えられます。

POINT

✔法律で規定されたサービス内容に対して報酬が支払われるため差別化が難しい

✔大手企業は介護用品などの直接的に介護保険制度に関わらな部分で収益を得ている

✔自費で自由にサービスを受けられるようになることで、大手企業の参入が増える

中小企業が抱える問題点とは?

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介護業界における中小企業が抱える問題として、企業の規模が小さいために効果的にサービスを提供することができないほか、潤沢な利益を得ることができずに十分なサービス提供ができないと言うものがあります。

介護サービスの講習は介護保険制度における点数制によって一律に規定されているため、十分なサービス提供ができない場合には十分な収益を得ることができない構造となっており、その中で効率的に利益を得ることができる方法を見出すことが非常に難しいものとなっているのです。

大手の場合にはそのほとんどが介護用品の販売やサービス提供以外の異なる事業により収益を得ることができると言う側面があるため、サービス提供能力においては潤沢な余力を持っているのに対し、中小企業の場合ではサービス提供以外の利益を得るための方策を持つことが難しいため、その経営は非常に困難なものとなっている実態があります。

この問題を解決するためには儲けの率を高める必要がありますが、保険制度により報酬が規定されていることや、現在では十分な給与を支払うことができず人員を増やすこともできないため、サービス提供能力を向上させることもなかなか困難であると言う現実を抱えているのです。

介護保険制度が導入されたことにより、これまで利用者から直接対価を受けていた場合にはサービス内容によって差別化を図ることで十分な収益を得ることが可能となっていましたが、現在の保険制度の上ではその内容が一律に定義されているため、報酬も一律に支給されることになります。

その為、他社との差別化を図ることが難しく高い利益を上げるサービスを生み出すことができず、経済的な構造の改善が困難という実態があるのです。

これにより本来の企業体力が弱い中小企業は儲けるための構造を改善する事ができない状態に陥りやすくなっています。

中小企業が多くの利益を上げるためにはサービスの利用者の数を増やすことが必要となります。

利用者の数が増えることでサービスの提供数が増大し、単純にその総合的な利潤を増やすことが可能となりますが、そのサービスを提供するためには設備や人材の確保が非常に重要となるのです。

しかし実際には利益が上がらない状態で設備を導入したり、人材を確保することは困難であるため、利用者の数を増やすことも簡単には行えない状態となっているのが多くの企業の実態となっています。

中小企業の課題としてサービス提供能力の整備の問題があります。

一般的にサービスを提供するためには必要な設備を整え人材を確保することが必要ですが、利益を十分に確保できない企業が多い中ではこれらの条件を整備することが非常に困難な状況に陥っていることが少なくありません。

そのため中小企業はサービスの提供能力を確保することができない状態になっていることが多いと考えられ、十分な利益を得ることができない構造が維持されることになるのです。

中小企業の最も大きな問題として人材確保がなかなかできない状況になっている点があります。

介護サービスを提供するためには職員を増やすことが最も重要と考えられており、これを実現することで利益を上げることも可能となるのですが実際には介護職に対する就職率は非常に低くなっており、逆に離職率が高くなっている傾向があるのが実態です。

その理由として仕事内容が非常に厳しいと言う実態が挙げられており、これを打破しなければ人材を確保することは非常に難しい状況にあります。

しかし特に中小企業においてはその待遇を改善するための十分な収益を得ることが難しくなっており、結果として人材の確保が難しいと言う状況に至っているのが問題となっています。

中小企業においてはサービス提供能力が限界となっているところが多く、現在の介護保険制度においてはサービス提供を増やさない限り儲けがこれまで以上に向上することが見込まれない状況にあります。

そのため人件費を捻出することが現場では非常に難しく、賃金の水準を引き上げることが困難な状況となっているところが少なくありません。

介護職における劣悪な職場環境は企業の努力で改善されるものと考えられていますが、そのためにはこれに必要な経費を捻出するための十分な収益を得ていることが前提となります。

現在の中小企業のほとんどはその経営がほとんど儲けが出ない状態で行われていることが多く、無理に環境を変えようとすると逆にトラブルを招く危険性も発生しています。

そのため現場の離職者を抑える手段がないと言う実態があり、離職者の抑制が困難となっているのが現実です。

POINT

✔人材面などでサービス提供の能力の整備ができていない

✔サービス利用者を増やすということしか利益を高めることに繋がらない

介護大手企業ランキング

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介護業界には大手が少ないという話はしてきたのですが、実際に今ある既存の大手企業はどのような所なのでしょうか?

上場している企業のランキングをわかりやすくまとめてみました。

これを参考にして大手企業を目指すのもいいかもしれません。

順位 企業名 売上高 営業利益 特徴
1位 ニチイ学館 1,438億円 110億円 総合的な介護サービスの提供
2位 SOMPOホールディングス 1,191億円 ▲68億円 社員教育として企業内大学を開設
3位 ベネッセ 1,031億円 82億円 業界2位から3位へ
4位 ツクイ 733億円 38億円 デイサービスは業界1位
5位 セコム 668億円 46億円 在宅医療中心、訪問看護ステーション
6位 ユニマット・リタイアメント・コミュニティ 442億円 21億円 新規開設と統廃合
7位 セントケア・ホールディングス 371億円 19億円 医療との連携重視、訪問看護、看護小規模多機能型等、地域密着型サービス重視
8位 ALSOK 249億円 ▲4億円 高齢者住宅
9位 ケア21 226億円 8億円 社内求職者紹介制度により雇用安定化
10位 シップスケアホールディングス 212億円 6億円 全国施設の一体型経営

出典:堀田(2017)

トップであるニチイにおいても市場全体の1.4%しか占めていないことからも分かるように、介護業界は勝者がいまだに存在していません。

そして最近の傾向としては事業継承や買収、異業種の参入などが挙げられます。

SOMPOやベネッセなどは介護が主事業ではないですので、異業種参入と言えるでしょう。

何れにせよ、介護業界は伸びていることに代わりはありませんし市場の独占を目指し、熾烈な競争になることは間違いなさそうです。

まとめ

いかがでしたか?今回は介護業界の大手企業についての内容でした。

なぜ、大手企業が増えないのか、増える可能性やランキングなどをまとめたので、この記事を参考に介護業界での就職先を考えていていただけるといいと思います!