歩行介助のコツと知っておきたい注意点・ケース別で紹介
足腰が弱った高齢者や身体が不自由な障害者が、安全に歩行ができるように介護や補助をするのが歩行介助です。
バリアフリーがない段差や坂道、階段などは日常生活を送る上で避けることはできません。
今回は歩行介助をする際に知っておきたい方法やコツ、注意点、ケース別の歩行介助の方法などについて分かりやすく解説していきます。
■まとめ
歩行介助とは1人で歩くのが困難な人に対して、安全に歩行できるように介助をすることを指します。
介助者が介助を受ける人の真横に立つ方法です。
介助を受ける側の視線が遮られず常に前方を向くことができるので、ストレスが少なくて済みます。
また「自分の意思で歩くことができている」と感じてもらうこともできます。
介助者の負担も少ないので、長距離の歩行にぴったりですね。
介助者が介助を受ける人の、両腕を取りながら歩く方法です。
常に両腕を持って体を支えるため、介助を受ける人の転倒リスクを下げることができます。
階段は大きな段差があるので、転倒すると大きなケガを負う可能性 があります。
介助者は常に介助を受ける人の下側に立ち、万が一バランスを崩した際に体を支えられるようにしなくてはいけません。
✔︎歩行介助には主に3つの種類がある
✔︎横に立つ歩行介助は長距離の歩行に適している
✔︎手を引く歩行介助では、介助者は常に進行方向の安全を確認する必要がある
歩行介助には安全に、そしてスムーズに行うためのコツやポイントがあります。
知っておきたいコツやポイントを、技術面と精神面に分けて見ていきましょう。
まずは技術面についてです。
技術面の1つ目のコツ・ポイントは、介助者の体を近づけ過ぎないようにすることです。
人間は歩く際、自然と体の重心を前後左右に傾けています。
重心が前後左右に移動することで、安定して歩くことができるのです。
しかし介助者が転倒防止を意識して体を近づけ過ぎると介助を受ける人は歩行のバランスが取りにくくなり、返って転倒のリスクが高まります。
邪魔にならない程度に、適度に距離を取って介助するようにしましょう。
横に立つ歩行介助をする際は、立ち位置に注意をすることが2つ目のコツ・ポイントです。
基本的には介助を受ける人が右利きの場合は左側に、左利きの場合は右側に立ちます。
ただし麻痺がある場合は、麻痺側に立つようにしてください。
杖を使用している場合は、杖を持っていない側に立ちましょう。
介助を受ける人のリズムに合わせて歩行をすることも、大切なコツ・ポイントです。
前述した通り、歩く際は体の重心が前後左右に移動します。
「右足を出す」「体重をかける」「左足を出す」「体重をかける」の繰り返しで、歩行は進んで行きます。
一種のリズムのようなものですね。
介助する人は、介助を受ける人の歩くリズムに合わせて一緒に歩行をしましょう。
介助する人と介助を受ける人の歩行ペースや歩幅が合い、安定して歩くことができるようになります。
最後のコツ・ポイントはベルトをつかむことです。
人間は腰の部分を支えると、体を安定させることができます。
続いては精神面についてのコツ・ポイントです。
こまめに声をかけるようにしましょう。
緊張すると体に必要以上の力が入ってしまい、逆に上手く歩行できなくなる場合もあります。
「天気がよくて気持ちいいですね」「上手に歩けていますよ」「もう少しで休憩なので、頑張りましょうね」など、介助を受ける人がリラックスして歩けるようにこまめに声をかけると良いですね。
適度に休憩をはさむことも大切です。
足腰の弱りや体の不自由さがあると、短い距離であっても想像している以上に疲れます。
疲れている状態で歩行を続けてしまうと、思わぬ転倒を招くので注意が必要です。
短い距離であっても介助を受ける人の様子やペースを見て、休憩をはさむようにしてください。
✔︎介助を受ける人の重心移動を妨げないように、適度に距離を取る
✔︎横に立つ歩行介助では、介助者の立ち位置に注意をする
✔︎リラックスして歩行できるように、こまめに声をかけるようにする
歩行介助をする際の注意点や、やってはいけないことを紹介します。
特に自宅や施設内などでは、障害となるものを普段から排除しておくことが大切です。
つまづきの原因となるコードや安定性のないカーペット、その他にも歩行の邪魔となるようなものは取り除いておきます。
介助される人の生活導線上に、余計なものを置かないようにしましょう。
「邪魔になっているかも」と常に疑うことが大切です。
杖や歩行器などの補助具を使用している場合は、常にメンテナンスをするようにしましょう。
メンテナンスがされておらず、不具合があると転倒のリスクが高まります。
杖のすべり止めが減っていないか、歩行器のタイヤ部分の回り具合はどうかなど、常にメンテナンスをすることが大切です。
焦らせないようにすることも大切です。
「早く歩かないと」と焦ってしまうことで、転倒につながります。
特に介助者の仕事が多いと言葉で焦らせていなくても、焦りの気持ちは自然に伝わってしまうものです。
✔︎「邪魔になっているかも」と疑い、障害となるものを取り除く
✔︎杖や歩行器は常にメンテナンスをしておく
✔︎焦らせないようにすることも大切
ケース別の歩行介助方法を3つ紹介します。
杖歩行が可能な人では、まず介助者は介助を受ける人が杖を持つ反対側に立ちましょう。
やや後ろ側が良いですね。
相手の体を常に支えたり触ったりする必要はありません。
基本的には一人で歩行する様子を見守り、万が一バランスを崩した際にすぐに支えられるようにしておきます。
スピードや歩幅の他、膝がしっかりと上がっているかを注意深く観察するようにしてください。
手を引く歩行介助は常に両腕を持っているため、転倒リスクの低さが大きな特徴です。
介助者は両手を直角に出して介助を受ける人の両腕を握るのではなく、相手の両腕を自分の手のひらに乗せてもらうようにします。
肘の部分を乗せてもらうようにすると良いですね。
姿勢も安定します。
階段を昇る際は、介助者は介助を受ける人の斜め後ろ側に立ちます。
手すりを握って一段ずつ昇ってもらい、バランスを崩した際に支えられるように準備をしておきましょう。
足腰が弱っている場合は、腰を支えると階段昇降がしやすくなります。
ズボンのベルトを持って、足を上げると同時にベルトを上に引っ張るとスムーズです。
✔︎杖歩行では、基本的には相手の体には触れないようにする
✔︎手を引く歩行介助では、相手の両肘を介助者の手のひらに乗せるようにする
✔︎階段を昇る際は、必ず介助を受ける人の斜め後ろに立つようにする
実際に歩行介助を受けている人の言葉を紹介します。
脳血梗塞により片麻痺がある人の感想
1年前に脳梗塞を発症して、左半身に麻痺が残りました。
週に2回デイサービスセンターに通っています。
1人で歩行する際はどうしてもふらつきがあって、倒れるのではないかと不安です。
デイサービスに通う際は、介護の職員が歩行介助をしてくれるので安心して歩けます。
センターでは歩行練習もするのですが、毎回スタッフが応援してくるので励みになっています。
糖尿病で片足切断をした人の感想
若い時に糖尿病になりましたが、治療らしい治療をしてこなかったために症状が悪化し、2年前に左足の膝下を切断しました。
義足と杖を併用していますが、階段の昇り降りは一人でできません。
通院する際にヘルパーをお願いして、階段昇降の介助をしてもらっています。
階段で転倒すると大きなケガにつながるので、支えてくれる人がいるのは本当に安心です。
✔︎脳梗塞で麻痺が残ったケース。
デイサービスセンターのスタッフの介助で安心して歩ける
✔︎糖尿病で片足を切断したケース。
階段昇降でヘルパーに介助をお願いし、支えられている
✔︎いずれのケースでも歩行介助者がいることで、安心して歩行をすることができている
歩行介助とは足腰が弱い高齢者や身体が不自由な障害者に対して、安定した歩行ができるように介助やサポートをすることです。
歩行介助にはコツや注意点があり、上手に行わないと転倒のリスクが高まるので注意しましょう。
歩行介助を受けている人からは歩行介助によって助かっているとの声が多く、やりがいのある介助の一つです。
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