居宅療養管理指導とは?サービス内容と利用方法をわかりやすく紹介
居宅療養管理指導は、介護給付サービスの1つです。
医師や看護師、管理栄養士らがそれぞれの立場から専門的なアドバイスを行いますが、利用者やその家族にとっては、わかりづらいサービスであることは確かでしょう。
また居宅療養管理指導は、往診や訪問治療と勘違いされやすいサービスでもあります。
ここでは居宅療養管理指導について、サービス内容や利用のメリット、利用方法などについてご紹介します。
●特徴
居宅療養管理指導とは、通院が困難な利用者に対して、医師、看護師、歯科衛生士、管理栄養士、薬剤師などの専門職が居宅を訪問し、療養上の管理・指導を行う介護給付のサービスです。
利用者が可能な限り居宅において持っている力で自立した生活を営めるよう、生活の質(QOL)の向上を目指す目的です。
担当のケアマネジャーと連携して、より最適なケアプランの作成や療養上のアドバイスなども行います。
65歳以上の要介護認定を受けた高齢者が利用対象者です。
また、関節リウマチやパーキンソン病といった特定疾病により、要介護認定を受けた人も対象となります。
混同されやすいサービスに介護予防居宅療養管理指導がありますが、これは要支援1.2の利用者を対象としています。
費用はどの専門職のサービスを利用するか、また月の利用回数によって異なります。
利用負担額は原則1割ですが、所得が一定以上ある人の場合は2〜3割の負担になる場合があります。
専門職の種類別の費用として、公益財団法人・長寿科学振興財団が公開している表を参考にしてください。
【居宅療養管理指導の1回あたりの自己負担額目安(1割の場合)】
単一建物居住者1人 | 単一建物居住者2~9人 | 単一建物居住者10人以上 | |
---|---|---|---|
医師Ⅰ | 509円 | 485円 | 444円 |
医師Ⅱ | 295円 | 285円 | 261円 |
歯科医師 | 509円 | 485円 | 444円 |
薬剤師(医療機関) | 560円 | 415円 | 379円 |
薬剤師(薬局) | 509円 | 377円 | 345円 |
管理栄養士 | 539円 | 485円 | 444円 |
歯科衛生士 | 356円 | 324円 | 296円 |
参考URL:https://www.tyojyu.or.jp/net/kaigo-seido/kaigo-service/shidou.html
表のように、薬局の薬剤師と歯科衛生士以外の専門職の利用限度回数は「月2回」である点も情報として知っておきましょう。
一人暮らしの高齢者のみが利用するサービスと認識されがちですが、夫婦間での介護や家族の在宅介護であっても利用可能です。
特に結婚や転勤などで高齢の親と離れて住んでいて、「通院させるのが難しい」、「しっかり食事をとっているのか心配」と悩んでいる家族にとっては活用したいサービスです。
通院時の身体的・精神的な負担を軽減できることは、利用者本人にとって、何よりのメリットでしょう。
家族にとっては、専門知識のある医師や看護師、薬剤師、管理栄養士らから情報提供をしてくれることで、安心して介護を続けることができます。
✔︎居宅療養管理指導は、医師や看護師が居宅を訪問する介護給付のサービス
✔︎65歳以上の要介護認定を受けた高齢者が利用対象者
✔︎夫婦間での介護や家族の在宅介護であっても利用可能
居宅療養管理指導のサービスは、専門職の種類によって異なります。
どのサービスも医師の指示のもと行われるのが一般的ですが、それぞれの専門職が役割を持って連携して利用者に管理・指導を行います。
では、具体的なサービス内容を見ていきましょう。
(訪問回数については先ほど紹介した表を参考にしてください。
医師や歯科医師は、主治医の診断に基づいて健康管理に関する指導を行います。
医療の観点から、生活の質(QOL)向上のために日常生活を支援する目的です。
薬剤師、管理栄養士、歯科衛生士らのケアが適切に実施されているかの管理も行います。
ケアマネジャーと連携して、最適なケアプラン作成のために情報共有をすることも大切な役割です。
薬剤師は服薬の管理を行います。
内服を行いやすいよう薬を一包化(まとめる)したり、錠剤粉剤に変えて飲みやすい形状に変えたりといった行為です。
これらは医師の指示のもと行われるため、利用者・家族としては安心できます。
管理栄養士は利用者の心身の状態に合わせた栄養指導を行います。
具体的には、栄養バランスを考えたメニューの作成、調理方法のアドバイス、摂食や嚥下機能に配慮した食事の指導などがあります。
これらは、薬剤師同様、医師の指示に基づいて行われます。
歯科衛生士は、口腔機能の維持・向上と口腔の異常から起こる病気発症の予防をサポートするために指導を行います。
具体的には、入れ歯の清掃方法、正しい歯磨きの方法、摂食・嚥下機能に関する指導などです。
これらが、医師の指示に基づいて実施されます。
✔︎それぞれの専門職が役割を持って連携して利用者に管理・指導を行う
✔︎医師・歯科医師、薬剤師、管理栄養士、歯科衛生士らによる管理指導
「医師や看護師が訪問して管理・指導するのであれば往診と同じでは?」と感じた人もいるでしょう。
しかし居宅療養管理指導と往診、訪問治療とは別物です。
往診は介護保険ではなく医療保険が適用される診察のことです。
居宅療養管理指導はあくまで介護サービスであり、医療を伴う診察ではありません。
また往診は通院が困難な人やその家族から依頼を受けて、医師が不定期に訪問します。
さらに、往診では担当のケアマネジャーとの連携義務はありません。
訪問治療も往診と同じく、医療保険が適用されます。
あくまでも治療を目的にした訪問であり、介護を目的にした居宅療養管理指導ではないためです。
往診と違うのは、訪問治療は月2回の定期訪問であることです。
担当ケアマネジャーとの連携義務がない点は、往診と共通しています。
居宅療養管理指導のサービスを利用する前に、ケマネジャーや自治体などの専門機関に相談して、往診・訪問治療の方がベターな選択肢なのかどうかを確認することをおすすめします。
✔︎居宅療養管理指導と往診、訪問治療とは別物
✔︎往診は通院が困難な人やその家族から依頼を受けて医師が不定期に訪問
✔︎訪問治療はあくまでも“治療”を目的にした訪問
サービス利用の流れは、下記が一般的です。
1.担当ケアマネジャーもしくは主治医に利用者の状態を相談する
2.ケアマネジャーが利用者の心身の状態に合った事業所を探す
3.マッチした事業所が見つかれば利用の可否を確認する
4.利用者と相談しケアプランを作成、サービス開始日を決定
5.主治医の指示のもとサービス開始
事業者を選ぶ際はすべてをケアマネジャーに任せず、利用者とその家族もしっかりと見極めて判断する必要があります。
「こんなはずじゃなかった」と後悔しないために、以下の選ぶ3つのポイントを参考にしてください。
具体的なサービス内容、料金、事故発生時の対応マニュアル、キャンセルや変更時の対応をしっかりと説明してくれる。
言葉遣い、態度、時間など約束事に対する意識が誠実なものかどうか。
事業所についてインターネットなどで調べて、評価・口コミをチェックする。
信頼できない評価(悪質なクレームなど)もあるので、参考とした活用する。
✔︎まずはサービス利用の流れを理解する
✔︎すべてをケアマネジャーに任せず、利用者・家族も見極めて判断する必要
✔︎サービスを詳細に説明してくれる、会ったときの対応、評価・口コミ
かいご畑は、介護に活かせる研修やスキルアップを目指すための講座あり、無料で受講できます。
介護職員初任者研修、実務者研修、介護福祉士受験対策講座など充実しているのも魅力的です。
未経験で働き始めても、国家資格の介護福祉士にもなることが可能な仕組みになっています。
そんな向上心のある未経験者対象に、介護の初歩を丁寧に教えてもらえる入職時研修や現場で役立つ実践セミナーなど、働く人のためのサービスがたくさんあるため、是非かいご畑をご活用ください。
居宅療養管理指導は医療目的のサービスではなく、あくまで介護給付サービスを利用した療養上の管理・指導です。
もちろん医療的な側面からの介護は受けられますが、「治療を何もしてくれないからサービスとしては不適切だ!」などと勘違いしないようにしましょう。
ここで紹介した内容を参考にしながら、利用前に、居宅療養管理指導のサービスをしっかりと理解しておきましょう。
利用者の身体・精神の状態によっては、往診や訪問診療が適している場合もあります。
ケアマネジャー、主治医、利用者とその家族らと包括的な視点から意見交換を行いながら、利用者にとってベストなサービスを選ぶことが大切です。
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