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更新日 2020.5.23

ターミナルケアとは?在宅や施設におけるケアの方法を紹介!

人間は誰しも「死」に向かって生きています。

すべての人がただ生き続けるだけでなく、尊厳を持ってよりよく生きる存在です。

それは治療をしても治る見込みがないと医師が診断した時期=終末期、でも同じことです。

終末期には、身体的な苦痛だけでなく、精神的、社会的、霊的(スピリチュアル)な苦痛を抱えることになります。

本人は、痛みや不安などで心を閉ざしがちになり、よりよい死を迎える状態から遠のいてしまいます。

そこで必要な支援が、ターミナルケアです。

ここでは「ターミナルケアとは何か?」といった疑問から、ターミナルケアのサービス内容・種類などについてご紹介します。

ターミナルケアってなに?

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ターミナルケアは、死が迫っている人に対して、できるだけ不安・苦痛・不快感などを少なくして残された生活の充実を優先させるための援助です。

ターミナルには「末期」という意味がありますが、ターミナルケアは、日本語では「終末期ケア」と表記されることもあります。

終末期とは、治療をしても治る見込みがなく死が避けられない状態で、一般的には余命6ヶ月と認識されています。

本人の意思を最大限尊重し、QOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)を保ちつつ、最期まで自分らしさも保てるような尊厳あるケアが望まれます。

緩和ケアはWHO(世界保健機関)によって、以下のように定義されています。

緩和ケアとは、生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して、疾患の早期より痛み、身体的問題、心理社会的問題、スピリチュアルな問題に関してきちんとした評価をおこない、それが障害とならないように予防したり対処したりすることで、クオリティー・オブ・ライフを改善するためのアプローチである。

この定義からは、ターミナルケアとの大きな違いはないように思えますが、事実その通りです。

ターミナルケアは、緩和ケアに含まれる支援の1つと考えるとよいでしょう。

ただし、緩和ケアでは治療も並行して進めるケアも含まれるため、ターミナルケアよりも医療的なアプローチが強い側面があると言えます。

近年では、緩和ケアに特化した緩和ケア病棟が作られるなど、患者を病苦・死苦から解放する環境が進んでいます。

ターミナルケアや緩和ケアと同様に、ホスピスケアも終末期のケアとして広く知られています。

意味や役割は、先の2つとほとんど同義と考えて問題ありません。

ちなみに「ホスピス」とは、1967年にロンドンでがんの末期患者の苦痛を取り除くために創設された施設で、日本では1981年に静岡県・浜松市で開設された歴史があります。

POINT 

✔︎死が迫っている人に苦痛・不快感などを少なくし生活の充実を優先する援助快感などを少なくし生活の充実を優先する援助

✔︎ターミナルケアは緩和ケアに含まれる支援の1つ

✔︎ホスピスケアも終末期のケアとして広く知られている

ターミナルケアのサービス内容と注意点 

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ターミナルケアには患者に必要なケアによって、主に「身体的ケア」、「精神的ケア」、「社会的ケア」の3つの種類があります。

いずれも延命を目的にしない、QOLを改善するためのケアです。

それぞれの内容を見ていきましょう。

痛みを緩和するために、投薬などで身体面のケアを行うのが身体的ケアです。

がんなどの病気では、終末期に強い痛みが発生することが多く、「ますます生きる気力がなくなる」、「眠れない」、「体が動かせない」などの深刻な苦痛を伴います。

身体的ケアによって、心身の痛みを改善することが目的です。

また、食べることができない状態であれば、経管栄養や点滴などで栄養補給も行います。

ただし、「栄養補給する・しない」、「補給の方法はどうするか」などはあくまで患者本人の意思を尊重することも身体的ケアの大切なポイントです。

終末期の患者は、精神面が大きく不安定になりがちです。

死への恐怖や不安をできるだけ軽減できるよう、リラックスできる環境を整えるのが精神的ケアです。

具体的には、恐怖や不安などの感情に寄り添う、ベッドの周りにリラックスできる物を置く、好きな音楽を流す、本人と仲の良かった人を招く、といったことです。

特に家族や友人として、恐怖や不安などの感情に寄り添うことは、患者にとってとても大切な精神的ケアとなります。

孤独感をより軽減するために、ボランティアの協力も選択肢の1つです。

身体的な不安、精神的な不安とともに付きまとうのが、経済的な不安(負担)です。

入院費や介護にかかるお金の心配が続くことは、精神的不安を増大させ安心して最期を向かえる状態から遠のく要因です。

社会的ケアは、病院のソーシャルワーカー(医療ソーシャルワーカー)などに療養中の経済的負担の軽減やプランニングを相談することで、不安の改善を図ります。

遺産相続・整理などの支援も社会的ケアであるため、「自分がいなくなったら家族に迷惑がかかる」といった不安もサポートできるケアです。

ケアの質を高めるためには、死に近づいている患者の心理状態をできるだけ正確に把握しておく必要があります。

そのために参考にされているのが、キューブラー・ロスの死の受容過程という概念です。

ほとんどの患者は、死を宣告された時点ですぐに自分の死を受け入れられるわけではありません。

以下の5段階の過程をたどることで、受容へ向かっていきます。

死を拒否・否定する段階で、自分の死を受け入れらない状態です。

人によっては周囲の人から距離を置くようになります。

「なぜ私だけこんな運命なのか」、「なぜ死ななければならないのか」と自問し、怒りを抱くようになります。

現実逃避に近いプロセスで、「神」と取引をすることで助かる道・楽になる道を探ろうとします。

運命には逆らえず、「死」は避けられないものだと認識し、抑うつ状態になります。

心が穏やかになり、死を受容できるようになります。

ただし、これら5段階は、終末期を迎えるすべての人が同じプロセスを辿るわけではありません。

また、受容に至った後でも、抑うつや否認に戻るケースもあります。

家族や周囲の人たちは、本人とコミュニケーションを取りながら「今はどの段階なのか?」を見極めて、心に平穏を感じられる「受容」を長く維持できるサポートをすることがポイントです。

POINT 

✔︎ターミナルケアは「身体的ケア」、「精神的ケア」、「社会的ケア」の3つ精神的ケア

✔︎キューブラー・ロスの死の受容過程という概念

✔︎終末期を迎えるすべての人が同じプロセスを辿るわけではない

どこでターミナルケアを行うか?

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ターミナルケアを実施する場所は、主に「在宅」、「介護施設・病院」です。

住み慣れた家庭で人生の最期を迎えることができるため、安心して過ごせることが一番のメリットです。

また家族にとっては、細やかな身体的・精神的ケアができますし、介護施設や病院に通う時間・労力を軽減できるなどのメリットがあります。

家族にとって、本人の苦痛や苦悩に共感し、適宜適切な判断をすることは簡単なことではありません。

それを24時間ケアする必要があるため、身体的・精神的な負担はどうしても増えてしまいます。

いつ死が訪れるかわからない不安とも、近くで付き合っていく必要があります。

緊急の際に医療従事者や介護スタッフが常にいる安心感は、在宅にはない大きなメリットです。

また家族にとっても、体力的・精神的な負担を軽減できることにつながります。

褥瘡のケアや日常生活のサポートを24時間続けることは、大変な苦労も伴います。

本人にとっても、介護・医療のプロによるサポートの方が、ストレスなく残りの人生を生きられる場合もあるでしょう。

常にそばで見守ることができず、面会時間は限られているため、本人にとっては孤独感や不安感が大きくなりがちです。

また「自宅で最期を迎えたい」と切望する人にとっては、安らかに死に迎えられない環境になってしまいます。

さらに、入院費、治療費、看取り介護加算(介護施設でターミナルを受ける場合)といった費用が発生する点もデメリットです。

具体的な費用は、本人が入っている保険の種類や過ごす日数などによって個人差があります。

POINT 

✔︎ターミナルケアを実施する場所は、主に「在宅」、「介護施設・病院」

✔︎それぞれメリット・デメリットがあるので、本人や家族に合わせて選ぶ

まとめ

ターミナルケアは、死が迫っている人に対して、できるだけ不安・苦痛・不快感などを少なくして残された生活の充実を優先させるための援助です。

そして、ご紹介したようにターミナルケアには様々なアプローチがあります。

身体的ケア、精神的ケア、社会的ケアなどです。

またターミナルケアを実施する場所もいくつかあることを説明しました。

これらのアプローチ方法や実施の場所に、絶対正解の選択肢はありません。

患者本人が望むことや、家族(介護者)の体力・精神力・経済力、などを総合的に判断して、決定することが重要です。