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更新日 2019.5.23

介護ロボットとは?種類や利用するメリット・デメリットについて

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自宅で親の介護をしていたり、介護施設で働いている職員さんは、毎日の介護の肉体的・精神的な負担をひしひしと感じていることでしょう。

これからの日本では介護を必要とする高齢者が今以上に増えますから、介護の負担もさらに大きくなります。

そこで、注目されるのが介護ロボットです。

今回は、介護ロボットの種類や将来性、メリットについて紹介していきましょう。

介護ロボットとは

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みなさんは、介護ロボットと聞いたらどのようなロボットの姿を想像するでしょうか?

人によっては、腕の筋肉の力を増大させたり腰への負担を軽減するスーツのようなものを想像するかもしれません。

もしくは、高齢者と向かい合って簡単な会話をするコミュニケーションロボットかもしれません。

こういった介護ロボットに対する漠然としたイメージはお持ちだと思いますが、明確な定義を説明できる方は少ないでしょう。

介護ロボットの定義としては、次の2つの条件があげられます。

ロボットの定義である「情報を感知し(センサー系)」「判断し(知能・制御系)」「動作する(駆動系)」という3つの要素を満たしている

ロボットとしての3つの要素を満たしており、「介護者の負担軽減」「利用者の自立支援」に役立つこと

この2つの条件を満たしているものは、すべて介護ロボットと呼ばれます。

どうしても「ロボット」と聞くと、パワースーツや2足歩行型のロボットなどを想像しがちですが、例えば利用者の動きを見守る「見守りセンサー」や排泄を支援する「自動排せつ処理装置」といったものも介護ロボットに当てはまるのです。

そう考えると、想像している以上に介護ロボットが役立つ範囲が広いということがお分かりになるでしょう。

POINT

✔情報感知し、判断し、動作するものがロボットの定義である

✔ロボットの定義を満たし、介護者の負担軽減と利用者の自立支援に役立つものが介護ロボットである

✔介護ロボットが活躍できる幅は広い

介護ロボットの種類について

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さまざまな種類が開発されている介護ロボットですが、そのタイプは大きく3つに分類されます。

自宅で介護をしていたり、介護職に従事している方であれば、利用者の「移乗」「入浴」「排泄」の介護の負担が大きいと感じることは多いかもしれません。

介護支援機器というのは、このように介護の中でも人力による負担が大きな作業を支援する機器となります。

また、人力による介護は適切に行わなければ利用者へ痛みや不安といったマイナスな感情を生んでしまいがちですが、介護支援機器であればそういった部分のマイナス面が発生しにくくなるかもしれません。

介護が必要になった場合でも利用者が自立して行えることが多ければ、急激な心身の衰えを軽減できます。

自立支援機器があれば、「移動」「食事」「リハビリ」「読書」など利用者の自立した生活を実現しやすくなります。

自立支援機器は、利用者の生活の質を向上させるためだけの存在と思われるかもしれません。

しかし、利用者の生活の質が向上するということは、要介護度が高くなりにくいということでもあり、結果的に介護をする側の負担も軽減されることになるのです。

介護が必要になるとどうしても転倒などの危険も増えるため、利用者を見守る目が重要になります。

だからといって、ずっと利用者の行動を人間が見守っていられるわけでもありません。

そこで、カメラなどによる見守り機能を持ったロボットが開発されています。

また、「見守り」と同時に利用者と「コミュニケーション」をとる機能を持つロボットも増えています。

カメラやセンサーによる見守りが普及すれば、利用者の危険や異常をいち早く察知でき、なおかつ介護をする側の見守りやコミュニケーションの負担も大きく軽減できるため、メリットは計り知れないでしょう。

POINT

✔介護ロボットは、大きく「介護支援機器」「自立支援機器」「見守り・コミュニケーション支援機器」に分類される

✔介護ロボットは「移動・移乗」「入浴」「排泄」「食事」「リハビリ」「見守り」「コミュニケーション」といった多くの部分を支援できる

✔介護ロボットが介護をする側、される側に与える影響は大きい

介護ロボットの重点開発分野

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3タイプに大別される介護ロボットですが、国はその中でも6種類の介護ロボットの開発に重点を置いています。

車椅子からベットへ、車椅子からトイレへといったように場所から場所へ乗り移る「移乗」の動作をサポートするのが「移乗介助型」です。

介護者が装着してパワーアシストをする「装着型」、リモコンやスイッチの操作でロボットを動かし移乗をサポートする「非装着型」があります。

生活の上で欠かせない「移動」をサポートするのが「移動支援型」です。

高齢者が自分の体に身につけて歩行や転倒予防をする「装着型」、屋外での荷物運搬などをサポートする「屋外型」、特にトイレでの立ち座りや姿勢の維持をサポートする「屋内型」があります。

介護をする側とされる側、どちらにとっても大きな負担となる「排泄」をサポートするのが「排泄支援型」です。

設置位置を調整できるトイレとなる「排泄物処理型」、排泄のタイミングを予測し事前にトイレへ誘導する「排泄予測型」、トイレでの衣服の着脱動作をサポートする「動作支援型」があります。

センサーで高齢者の睡眠状態や離床の感知、認知症の高齢者の徘徊を察知、転倒を検知できるのが「見守り型」のロボットです。

高齢者が生活する場所によって必要とされる機能も変わってくるので、「介護施設型」「在宅介護型」が開発されています。

また、ロボットが高齢者の反応によって笑ったり泣いたり、簡単なゲームをしたり、一人になりがちな高齢者も他人(ロボット)とのやりとりができるのが「コミュニケーション型」です。

介護が必要になると足の上げ下げも難しくなり、入浴の際に浴槽へ入りにくいという声は多いです。

入浴支援型」のロボットは、浴槽の出入りの一連の動作をサポートするものです。

ロボットを導入することで得られる高齢者に関する様々な情報(排泄のタイミング、睡眠時間など)を収集・蓄積するのが「介護業務支援型」のロボットです。

収集・蓄積した情報を元に、高齢者にとってもっと適切な介護を提供できるようになります。

POINT

✔国は6種類の介護ロボットの開発を重点的に進めている

✔介護ロボットにも「装着型」「非装着型」「動作支援型」「介護施設型」「在宅介護型」などの種類がある

✔ロボットを利用することで集めた情報を使って、より良い介護を実現できる可能性もある

介護ロボットのメリット・デメリット

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介護ロボットの導入が普及するメリットとして、介護者の負担軽減は誰もが思いつくことかもしれません。

もう少し具体的に介護ロボットのメリット、デメリットを紹介しましょう。

介護ロボットを利用するメリットとしては、次のようなものがあげられます。

介護ロボットを利用することで、移乗や入浴といった体力的に負担が大きな部分をカバーできます。

特に介護従事者には腰痛問題がつきものですから、身体的な負担軽減は大きなメリットでしょう。

また、見守りやコミュニケーションといった部分を介護ロボットでカバーできれば、在宅介護で親を介護する家族の負担軽減なども期待できます。

ロボットによる適切な力、動作による介護が実現されれば、介護をされる側の身体的な負担も軽減されるでしょう。

また、介護をされる多くの人は「介護をしてもらって申し訳ない。」「排泄介助をされるのが恥ずかしい。」といった気持ちを抱えており、介護をする側が気づかないうちに精神的負担が重なっていることもあります。

しかし、介護をするのが人間ではなくロボットであれば、こういった介護をされる側の「申し訳ない」「恥ずかしい」といった気持ちも軽減されるかもしれません。

介護ロボットを利用することで、介護業務を大幅に効率化できる可能性もあります。

例えば、介護施設では部屋で過ごしている利用者が転倒したりしていないか定期的な巡視が必要ですが、見守りロボットの導入で巡視の時間を削減できるかもしれません。

介護ロボットを導入することで、これまで人間がしていた介護の一部をロボットが代わりにしてもらえるようになります。

もちろん、1台のロボットが1人の介護職員が行うすべての仕事を代わりにするということはできませんが、仕事の一部を代わりにしてもらえるだけでも人手不足の解消に役立つでしょう。

介護ロボットのメリットは魅力的ですが、人手不足が叫ばれているにもかかわらず普及していないのはデメリットもあるからです。

どんなロボットもそうですが、市場に普及するまでは1台あたりの価格は高額になります。

介護ロボットは、構造も単純ではなく簡単に大量生産できるようなものではありませんから、どうしても値段の高さが導入のネックになります。

介護ロボットを適切に使用するためには、人間が適切に操作をする必要があります。

この操作方法が難しく、導入に踏み出せないという施設も少なくありません。

介護の職場の年齢層は幅広いですから、いかに操作方法を簡単にできるかが重要かもしれません。

せっかく開発した介護ロボットが、現場の需要と一致していなかったというケースも珍しくありません。

例えば、介護をする側の身体的な負担を軽減する装着型のパワースーツは、着脱に時間がかかります。

介護の現場では、いちいちスーツを着脱しているような時間的な余裕はありませんから、少々体に負担がかかっても生身で介護をしたほうがいいと現場では考えられてしまいます。

いかに現場の声を反映させたロボットを作れるかが重要でしょう。

やはり、性能が高ければ高いほどロボット自体のサイズは大きくなる傾向にあります。

単純に大きなロボットは使い勝手が悪く、導入しても施設の隅においやられてしまうことが多いでしょう。

技術の進歩により、どんどんサイズはコンパクトになっていくでしょうが、そのためには莫大な開発費も必要ででしょう。

POINT

✔介護ロボットには、介護の身体的・精神的な負担の軽減、人手不足の解消といったメリットがある

✔介護ロボットには、価格の高さやロボットのサイズの大きさといったデメリットがある

✔現状ではデメリットのほうが勝っており、介護ロボットの導入が進んでいない

介護ロボットの将来性

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時代が進むにつれ、さまざまな分野でのロボットの活躍が注目されるようになっていますが、介護の世界でも例外ではありません。

しかし、介護ロボットに関していえばまだまだ発展途上の段階であり、介護の世界の救世主になるかはこれからの動き次第だといえるでしょう。

特に、価格が高く導入を見送っているという施設は多いですから、いかにコストダウンできるかで今後の普及率も変わってくるはずです。

また、本当に必要な機能を備えた使いやすい介護ロボットを開発するためにも、もっと現場の声を反映させることも必要かもしれません。

まだまだ改善すべき点は多いですが、「人間でもロボットでもできる作業」「ロボットでしかできない作業」「人間でしかできない作業」を明確に区分して、適材適所でロボットと人力を使い分けられれば、将来的には介護の人材不足などの問題を解消する大きな一手になる可能性も秘めているでしょう。

POINT

✔現状では、価格の高さから介護ロボットの普及率は高くない

✔現在の普及率は高くないが、介護の世界でのロボットに対する需要は確実にある

✔人力と介護ロボットを適材適所で利用できるようになれば、介護の世界の将来が大きく変わる可能性がある

まとめ

介護をする側、される側の身体的・精神的な負担軽減、利用者の自立支援などに役立つ介護ロボットですが、現時点では介護の現場での普及率は高くはありません。

しかし、深刻な人材不足に陥っている介護の世界において、介護ロボットに対する期待値は非常に高いです。

国もそのことを理解し、移乗介助、排泄支援など特に負担の大きな部分をサポートできる介護ロボットの開発に力を入れています。

今の時点で抱えている価格やロボットの大きさなどのデメリットをいかに改善していけるかによって、今後の普及率も大きく変わっていくでしょう。

もしかしたらそう遠くない未来、介護の世界では介護ロボットが当たり前のように活躍しているのかもしれません。